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歯科医薬品創生学寄附講座 (平成22年3月終了)

担当職員及び職名

教授 篠田 壽(常勤)
助教 村上 忍(常勤)

寄附者

昭和薬品化工株式会社 (代表取締役社長 野村 泉)

寄附の時期及び期間

平成18年4月1日‐平成22年3月31日

寄附講座の教育・研究の概要

(1)設置理由

高齢化社会を迎えた本邦において、歯周病は、高血圧や糖尿病とならぶ国民的な生活習慣病の一つに位置づけられている。世代別の罹患率は20代においてすでに50%を超えるとされ、その割合は経年的に増加することが知られている。また日本人の歯の喪失原因のおよそ8割が歯周病に起因するともいわれ、歯周病をいかに予防し、治療するかは、歯科的に最も緊急を要する課題の一つである。近年、分子生物学の急速な進歩により、歯周病の発症機序、成立機転等については次第に解明されつつあるが、それらの成果を応用し、具体的な治療手段にまで結びつけた応用研究は少ない。本講座はこうした背景のもとに設置されたもので、具体的には、歯周病の治療・管理・予防に貢献し、さらに失われた歯周組織の再生をも視野に入れた新たな歯周病治療薬を開発することを具体的な目的として設置した。

(2)教育の内容

以下の事項を中心に、歯科的基礎知識の習得を目指す。

  1. 歯科薬理学、薬物治療学に関する基礎知識
  2. 歯科疾患、特に歯周病に関する基礎知識
  3. 骨代謝に関する分子生物学的知識

(3)研究の内容と目的

歯周病治療薬の開発と評価法に関する基礎研究を行う。具体的には、

  1. 新しい治療薬の開発と有効性・作用機序の解明
  2. 上記薬物に適した輸送システム(DDS)の開発
  3. 開発した治療薬の安全性の検討

研究成果の概要

歯周病は歯周病菌に由来するリポ多糖類や(LPS)やそれらによって惹起される炎症性の歯周組織の破壊である。中でも歯を支持している歯槽骨の吸収・破壊は歯が脱落する直接の原因であり、歯槽骨の吸収を如何に抑制し、如何にその再生をはかるかは極めて重要な課題である。本講座では、歯周病が、細菌性の因子による局所的な骨吸収・骨破壊を主徴とすることに着目し、口腔内局所で使用が可能であり、骨吸収を抑えながら骨の再生をはかり、理想的には抗炎症作用を併せ持つ薬物を開発することを具体的な目標としてきた。一方、骨粗鬆症や癌性骨破壊に対して近年世界的に臨床使用されるようになった薬物の一つにビスホスホネート系化合物(BP,BPs)がある。BPsは破骨細胞の機能を抑制し、強力な骨吸収抑制作用を持つことが知られている。しかし、その骨吸収抑制活性や作用機序、様々な薬理学的性質はP-C-P結合の炭素原子に付加される側鎖の違いにより異なることが知られている。本講座では、これらのBPsが骨吸収系や骨形成系、さらに細菌性の炎症に対して側鎖の違いによりどのような効果の違いがあるかについて構造活性相関の観点から基礎的な研究を続け、抗酸化性の側鎖を持つ新しいBPの一つ、[4-(methylthio) phenylthio] methanebisphosphonate(MPMBP)が、従来のBPsには見られない骨形成促進作用を持つなどの特徴を有し、歯周病治療薬としての高い可能性を持つことを見出した。このMPMBPの具体的な薬理学的性質としては(1)骨吸収抑制作用を持つ(2)骨形成促進作用を持つ(3)抗炎症作用を持つ(4)歯石抑制作用を持つ(5)実験的歯周炎において高い効果を示す(6)骨に選択的に分布し局所適用が可能である(7)ある種のBPsで報告されている副作用(顎骨壊死)を持たないと推測される、などが挙げられ、これらの研究成果については、東北大学の知的財産として既に国内外への特許出願を行なっている( [4-(メチルチオ) フェニルチオ] メタンビスホン酸または薬理学的に許容され得るその塩を有効成分とする骨形成促進剤、特願 2008-225484)。本講座は、新たな歯周病治療薬の開発を直接の目的として設立されたが、これらの研究成果は、歯周疾患治療医学への応用にとどまらず、骨粗鬆症、インプラント治療、顎口蓋裂など、骨の喪失を伴う様々な疾患に対しても新しい可能性を示唆したものと考えられる。

(以上)

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