拠点概要
「食学(Shoku-gaku)」は、「口腔科学(歯学)」をこれまでの食の学問である「栄養学」と「食品科学」に統合・融合した、世界初の全く新しい学際共創科学です。いつでもどこでも(超高齢でも災害時でも)、おいしいものをおいしく食べることで、生涯にわたる健康と幸福を実現することを目的とします。
「食学(Shoku-gaku)」の扱う項目は、
- 口腔科学:食機能(摂食・咀嚼・嚥下)と食感覚(味覚・嗅覚・食感)のセンシング
- 食品科学:新機能食品、災害食
- 栄養科学:新食機能分子、個別化栄養
- 食マイクロバイオーム科学:食による口腔/腸マイクロバイオーム改変と口腔/腸マイクロバイオームによる食成分改変・新機能
- 食と健康と幸福のデータ科学
であり、これらを通して健康と幸福をもたらす新機能食品を開発します。さらに、これらの食品を用いた生涯にわたる健康と幸福のための「食のプログラム」を創出し、産学連携、社会実証、社会実装を含む社会共創を通して、その成果を社会に活かします。
社会との共創
『革新的食学拠点』では、「食学」に関する各大学の強みを活かして、先端的研究成果を地域社会の課題解決につなげることによる社会との共創を強く目指しております。
東北大学歯学研究科では、本拠点事業の一つとして「新機能食品」を用いた「食のプログラム」による健康の維持・増進を目指しており、歯科医師会、医師会等の職能団体や各自治体との豊富な連携実績に基づき、先端技術を地域社会へ還元する共創体制が整備されています。特に食品産業界では高齢化対応で嚥下に関係する食品開発の需要が高まっていることや、口腔マイクロバイオームの影響が、齲蝕にとどまらずヒトの健康機能にまで影響することが最近の研究成果から示されており、歯学研究科が有する嚥下やマイクロバイオーム評価系と農学研究科、宮城大学の食品開発プラットフォームの連携により、産業界への新たな貢献が期待されています。
一方、東北大学農学研究科では、宮城・山形・福島県食品産業協議会、宮城県農業法人協会、県内各自治体との連携協定を締結しており、地域との連携実績が豊富です。特に宮城・山形・福島県食品産業協議会とは、各県事務局や東北大学未来科学技術共同研究センター、技術移転機関である(株)東北テクノアーチとの密接な連携のもと(図1参照)、会員企業の技術的課題の解決等を推進しており、農学研究科として最先端技術を地域の課題解決に活かす共創体制が既に整っています。また、世界23の研究機関と国際交流協定を結んでおり、グローバルな研究開発を社会に活かすことが可能です。
宮城大学は大学の理念に『グローバルな視点で地域社会の発展に貢献できる人材を育成する』と明記されており、地域における産学官連携に実績があります。例えば、宮城県食品産業協議会とは連携協定を締結して、会員企業からの技術的課題への相談の対応や毎年のシンポジウムの共同開催等、多くの具体的な取組を進めていて、県内食品企業の課題解決体制(共創体制)が既に整っております。
SDGsへの貢献
『革新的食学拠点』では、「歯学」、「栄養科学」、「食品科学」を統合・融合した全く新しい学問である「食学」での先端的研究成果により、世界的な視点で、“食”の問題を解決する方策を見つけ出し、SDGsへ貢献してまいります。
東北大学
東北大学では、SDGsに貢献するため、全学で社会課題解決のための「社会にインパクトある研究」(全30プロジェクト)を展開しております。
https://impact.bureau.tohoku.ac.jp/index.html
歯学研究科、農学研究科が中心となったプロジェクトを以下に示します。
歯学研究科(B4、口から健康)
古くから人々は口と心身の健康との深い繋がりを感じてきましたが、口の健康と心身の健康増進・疾患予防との因果関係の系統的集積と機構解明は未達です。また、医療が健康・QOLを支える医療へと転換しているにも拘わらず、口の健康の重要性に関する社会的認知度は未だ低いのが現状です。
歯学研究科では、分野横断で口と全身の健康や社会とのかかわりも含めてとらえる学問「インターフェース口腔科学」を世界に先駆けて提唱し、(1)マイクロバイオームによる疾患予防・制御、(2)再生・再建医療の実用化、(3)口からの健康・幸福の増進という3つの研究開発を推進しております。これらの研究成果を、全身の疾患予防と健康増進を実現して健康長寿社会の構築に寄与し、さらに、食感や味を楽しみ、会話し、豊かな表情で過ごせるようになることを通じ、人々に生きる喜びをもたらす社会を創造してまいります。
これにより、SDGsにおける目標「2.飢餓をゼロに」「3.すべての人に健康と福祉を」「9.産業と技術革新の基盤を作ろう」へ貢献いたします。
https://impact.bureau.tohoku.ac.jp/wp-content/uploads/B-4_gd171003.pdf
農学研究科(E4、新生食産業)
日本の農林水産・食品産業は、農業従事者の高齢化や国内マーケットの縮小により弱体化し、食料の安定供給に危機を迎えています。この状況から成長産業へ転換するため、日本の精緻なものづくり力を活かした高品質・高機能化によって世界市場と高齢化市場を開拓しつつ、持続性ある農林水産業の確立が必要です。このため、高いQOLと持続可能社会実現を目指し、「国際競争力の強化」と「豊かな環境づくり」に重点を置き、(1)生物多様性を活かした生産管理技術の開発、(2)生物本来の機能を活かした高機能な生物生産、(3)企業と連携した高付加価値食品の加工・商品化に取り組んでおります。これにより、SDGs「2.飢餓をゼロに」「3.すべての人に健康と福祉を」「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤を作ろう」「14.海御豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」へ貢献いたします。
https://impact.bureau.tohoku.ac.jp/wp-content/uploads/E-4_gd170426.pdf
宮城大学食産業学群
食産業学は、農畜水産物の「生産」から「食品加工」「流通」「サービス」、そして「消費」に至るまでの全てをカバーする学問です。美味しく、安全・安心で、栄養価に優れ、しかも簡便な食料品が求められる昨今、SDGsに謳われる飢餓の撲滅(2.飢餓をゼロに)や海や陸の豊かさを守る目標(SDGs「14.海の豊かさを守ろう」、「15.陸の豊かさも守ろう」)の達成を視野に入れながら、スマート農畜水産やフードテックを活用した持続可能な食産業を目指しております。