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Special
2020年6月18日掲載(4月1日寄稿)
歯学研究科長・歯学部長
髙橋 信博 教授

研究科長・学部長就任の挨拶

歯学研究科長・歯学部長 髙橋 信博 教授

 皆様、こんにちは。
 4月1日より東北大学大学院歯学研究科長・歯学部長を拝命しました、髙橋信博です。月並みではございますが、研究科・歯学部を率いる重責から身が引き締まる思いです。

 今年に入り新型コロナウイルスの蔓延が留まることを知らず、世界中で多くの方が犠牲となりました。新型コロナウイルスでお亡くなりになられた方に哀悼の意を表するとともに、ご遺族の方には心よりお悔やみ申し上げます。また、感染された皆様の一日も早いご回復を心よりお祈りいたします。
  グローバル社会となって初めてのパンデミックであり、グローバル社会の脆弱さを目の当たりにした方も多いでしょう。東北大学においても、卒業式や入学式は中止され、授業は基本的にインターネット配信となりました。新型コロナウイルス蔓延阻止の難しさは、単に新たな病原体についての科学的知識の不足だけではなく、私たち人間の思考や行動が、このような危機に対し完全ではないことに起因します。私どもは9年前の東日本大震災の教訓を活かし、慎重かつ迅速に対応してきましたが、まだまだ先は不透明で予断を許しません。引き続き、医療系学部・研究科として、この危機への対応を先導していく所存です。

 簡単に自己紹介いたします。私は、仙台生まれの仙台育ちで、東北大学歯学部14回生として1984年に卒業し、口腔外科学第二講座(手島貞一教授)に大学院生として入局しました。臨床と共に口腔生化学講座(山田正教授)にて「口腔嫌気性菌の代謝」の研究で学位を修め、1988年、米国ミネソタ大学歯学研究所にVisiting Assistant Professorとして就職しました。CharlesF. Schachtele教授のもと、生化学、細菌学、免疫学と充実した研究生活を送り、暫くは米国暮しを想定しましたが、山田教授から口腔生化学講座助手のオファーを頂き、1990年に着任いたしました。いつの間にか基礎研究者としての覚悟がつき、2001年、山田教授の後任として教授に就きました。

 当時、大学は大学院重点化、国立大学法人化と大改革の真っただ中でした。そのような中、2004年、研究科長・学部長であった渡邉誠教授に佐々木啓一教授とともに副研究科長・副学部長に指名され、大学改革に取り組みました。以降、渡邉教授、笹野高嗣教授、佐々木教授の三代にわたる研究科長・学部長の副研究科長・副学部長として大学管理運営に深くかかわり現在に至ります。15年余の副研究科長・副学部長の経験から大学運営を中長期的視野から見ることの大切さを学んだように思います。

 2017年に東北大学が指定国立大学に選定されて以来、私どもの歯学研究科は世界の歯学のリーダーたることを強く望まれています。今年、東北大学が「THE世界大学ランキング日本版2020」にて第1位となり、歯学研究科もランキング入りを果たすよう期待は否が応でも高まっています。しかし残念なことに、東北大学は歯学領域の世界トップ50(QS大学ランキング)には未だ一度も入ったことがありません。

 指定国立大学は、世界に伍する大学として、格段に高い研究力、国際力、社会連携力が強く求められます。国際力ではダブルディグリープログラムや国費優先枠等による大学院留学生の増加を通して、社会連携力では医療機器・材料の開発・上市化や歯の放射能測定による震災復興事業を通して大変高く評価されており、歯学研究科の教職員・学生の努力と実力の賜物であると深く感謝しています。一方、研究では、異分野融合・連携研究の旗手として「インターフェイス口腔健康科学」を掲げて歯学の裾野を広げており、そのコンセプトは大変高く評価されているものの、歯学への貢献という意味ではまだ十分とは言えません。様々な研究領域と融合・連携し歯学を拡大する中で、私どものホームグラウンドである歯学への貢献を改めて考える時期に入っています。
  継承と発展・・・これまで培ってきた資産を活かしつつ、さらなる展開・挑戦を忘れることなく、教職員・学生、そして皆様とともに進んで参りたいと思います。今後とも歯学部・歯学研究科へのご支援を何卒よろしくお願いいたします。

(本記事は2020年5月発行のNewsletter21号に掲載されています。)

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