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2021年1月4日掲載(2020年10月31日寄稿)
東北大学病院 総括副病院長(歯科診療部門長)
五十嵐 薫 教授

総括副病院長(歯科診療部門長)就任の挨拶

頭蓋顔面先天異常学分野 教授
東北大学病院 総括副病院長(歯科診療部門長)
五十嵐 薫

 4月1日付けで東北大学病院の総括副病院長(歯科診療部門長)を拝命しました。まさに新型コロナウイルス感染症の第1波の最中、歯科診療部門は国内ではいち早く外来診療の制限(事実上の閉鎖)に踏み切りました。2011年の東日本大震災以来の重い決断ではありましたが、当時懸念されていた歯科診療に伴う感染リスクに関する世界中の情報を可能な限り収集し分析した結果であり、その時点では適切な判断だったと今も信じています。このように、歯科診療部門新執行部の仕事は、今も続くコロナ対応から始まりました。感染予防対策治療部長であり経営・総務担当をお願いした江草副病院長には、文字通りコロナ感染予防の陣頭指揮を執ってもらいながら、いきなり億単位の損失を抱えることになった歯科診療部門の経営を担っていただいています。溝口副病院長には教育担当として、臨床実習生と研修歯科医に対するウィズコロナ時代の新たな歯科臨床教育の構築をお任せし、同時に一大イベントである病院機能評価受審に対応していただきました。多難な船出となりましたが、病院で働く全てのスタッフと歯学研究科を含む内外の多くの皆様のご理解とご協力を得て、この8カ月間なんとか無事に歯科診療部門を運営することができています。新執行部を代表して、心より感謝申し上げます。

 さて、私は本学歯学部を1984年に卒業後、歯科矯正学教室に入局し、以来35年に渡り本院矯正歯科および顎口腔機能治療部において、一般の不正咬合、顎変形症、口唇口蓋裂などの頭蓋顔面部の先天異常に対する歯科診療に携わってきました。2002年には歯学研究科の教授に任ぜられ、本学で二つ目となる日本矯正歯科学会が認定する研修機関を運営し、難症例に対応できる矯正歯科医の養成に努めています。その間に、歯学部附属病院は医学部附属病院と統合し、2007年に歯科病棟が東病棟10階に、2010年には歯科外来が外来C棟3〜5階に移転して現在に至っています。私は外来移転の指揮を任され、その後は歯科診療部門の執行部で主に経営を担当してきました。歯科診療部門の2019年度の患者総数は入院外来合わせて17万人を超え、完全統合前の2009年度と比較すると、患者総数は24%、稼働額は47%増加し、大きく成長しました。診療の規模だけでなく、歯科インプラントセンターや周術期口腔支援センターを開設し、特定機能病院における歯科としての役割を果たすべく、その機能を向上させてきました。特に入院患者の周術期における口腔機能管理は、本院の医療の質向上と経営に大きく貢献しており、単なる医科歯科連携の取り組みを超えて東北大学病院の看板的存在になりつつあります。

 一方、外来移転後10年を経て、歯科診療部門はハードとソフトの両面で限界に近づきつつあります。そこで、次の10年、20年を見据えたリノベーションと組織再編に取り組み、診療の効率化と高度化を図りたいと考えています。2021年4月からは半数近くの診療科・部・センターの名称と役割が変更になるはずです。大きな変化としては、予診業務の刷新、歯科医療管理部の新設、周術期口腔支援センターの特殊診療施設への格上げ等が予定されています。そして、2019年に冨永病院長が掲げたスマートホスピタル構想(OPEN BED Lab、AI Labを活用した医療課題解決と遠隔診療の推進など)に沿って、歯科診療に関わるすべての職種の皆さんが本来の業務に集中し、その能力を十分に発揮していただけるような職場にすること、それによって患者さんが満足できる医療の質とサービスを提供することを目指します。

 歯科診療部門がさらに発展し、東北大学病院にとってなくてはならない存在であり続けるために、全力を尽くす所存です。皆様のご支援とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

東北大学のSmart Hospital Projectの基本理念
(本記事は2020年12月発行のNewsletter22号に掲載されています。)

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