東北大学
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活躍する卒業生
2020年12月14日掲載(11月4日寄稿)
ハーバード大学歯学部歯科修復学
アシスタントプロフェッサー
大山(馬場) 弘枝

前編:パンデミック編
パンデミック2020 〜ボストンから〜

ハーバード大学歯学部歯科修復学
アシスタントプロフェッサー 大山(馬場) 弘枝
1990年 東北大学歯学部 卒業
1992年 東京大学医学部歯科口腔外科学研修修了
1996年 ハーバード大学歯学部修士課程修了
1998年 東京大学医学部医学博士
2003年 ハーバード大学歯学部卒業
現在 ハーバード大学歯学部歯科修復学
アシスタントプロフェッサー

  20回生の大山(馬場)弘枝です。ハーバード大学歯学部に留学生としてやって来てから、既に四半世紀が過ぎようとしています。

 “日本はこのままで大丈夫なの?”

今年の春、毎日心の中で呟きどうしようも無い思いにかられていました。その頃アメリカでは、各都市でロックダウンに近い指令が発令され、在宅で仕事をするようになっていました。夜7時に見る “おはようニュース”で報道されている日本の映像には、アメリカでは考えられないような普段通りの光景が映りだされていたのです。あの時は心の底から心配しました。

 ハーバード大学では、3月に早急に閉鎖が決定され、その後リモート教育が4か月続きました。閉鎖直後は、何も分からない事から来る不安な毎日が続きました。しかしながら、この経験をどの様にポジテイブなものに変えていくかは私自身なのだと意識を変え、リモートでもできることは何であろうかと模索を始めました。またミーテイングの度、学生たちの苛立ちを痛感する時期でもありました。そこで、学生と一緒に研究をするのはどうかと、アンケート形式の研究を始めることにしたのです。この方法ならば、リモートではありますが“共に”プロジェクトを進めていけます。学生達をプロジェクトのリーダーにし、学生による学生のための研究をするという発想です。リモート講義による歯科教育への様々な影響について考察し、幸運にも学生が筆者である6篇の論文掲載をサポートすることが出来ました。(ハーバード大学の記事

学生が患者さんを待っているところです。この部屋は口腔外科用で陰圧室になっています。診療の際、N95はいつも使用しなければなりません。一日の終わりには、このようにぐったりです。ソーシャルディスタンスを取る為に、矢印で印をつけています。
学生が患者さんを待っているところです。この部屋は口腔外科用で陰圧室になっています。
▲ 学生が患者さんを待っているところです。この部屋は口腔外科用で陰圧室になっています。
診療の際、N95はいつも使用しなければなりません。一日の終わりには、このようにぐったりです。
▲ 診療の際、N95はいつも使用しなければなりません。一日の終わりには、このようにぐったりです。
ソーシャルディスタンスを取る為に、矢印で印をつけています。
▲ ソーシャルディスタンスを取る為に、矢印で印をつけています。

 2020年が色々なことを考える年となったのは、私だけではないと思います。未だ不確かなパンデミックが続く中、いくつかの重要なことに気づく年にもなりました。パンデミックがなければ出来なかった経験もあります。その一つは、私にとっての世界が小さくかつ近くなったことです。パンデミックの間、SNSを使って20回生の皆と沢山の会話をすることができました。馬鹿な(?)話に花を咲かせ、時に歯科について議論し、こんなにも同級生と話をしたのは卒業以来であろうかと思います。これがどんなに心の支えになったことかわかりません。このパンデミックの現実の片隅にも、いいことはあったなと思っています。テクノロジーの発展により、縮小されて来た世界、日本の反対側に住む私も微力ながら、母校そして同窓生の方々へ貢献できればと思ってやみません。

(次号の「後編:ハーバード大ファカルティ編」へ続く)